「アルコール性肝硬変」は、アルコールの飲みすぎでおこる肝臓病をまとめて呼ぶ「アルコール性肝障害」の中の一つです。
肝臓が悪いというと今でも、お酒の飲みすぎと思われがちです。しかし、肝臓病患者さん全体のなかでアルコールが原因となっている方は約2割です。
残りの多くの患者さんはウイルス性(B型やC型)や肥満に伴う肝臓病です。
元女流棋士の林葉直子さん(46歳)が、御自身がアルコール性肝硬変になっていると告白されたことで、やはり、お酒は怖いなあと思われた方も多いと思います。
今回、強調したいのは、
同じアルコール量を飲み続けた場合、女性は男性よりもアルコール性肝臓病になりやすい!
私も15年くらい前に林葉さんと同じ年齢のアルコール性肝硬変患者さんを担当したことがあります。担当時、既に全身黄疸、腹水、食道静脈瘤がひどく、残念でしたが、非常に短命でした。
何故、女性がアルコール性肝臓病になりやすいかの理由も研究されています。
- 胃にある、アルコール代謝酵素の働きが女性で低い
- 肝臓にあるアルコール代謝酵素の働きが女性で低く、酸化ストレスが多い
- 女性ホルモン(エストロゲン)がアルコール代謝酵素の働きを抑えている
などが知られています。理由はともあれ、
アルコールを楽しむ女性のみなさん、御注意を。
どれくらいのアルコールを飲むと病気になるかは、いろいろな意見がありますが、
毎日、日本酒5合程度を10年以上、飲み続けると肝硬変になるといわれています。
アルコール性肝障害は次の4つの病型にわけられています。
- アルコール性脂肪肝
- アルコール性肝炎
- アルコール性肝線維症
- アルコール性肝硬変症
アルコール性肝硬変は肝硬変の原因の約10%を占めています。最初は症状がありませんが、次第にだるくなり、白目や皮膚が黄色くなり、足がむくみ、お腹が水(腹水)ではってきたり、要するに肝臓が正常に働くなってきます。
アルコール性肝炎、肝硬変の患者さんの予後は
- 飲酒を続けると5年生存率50%以下と不良
- 完全禁酒で80%以上とすごく改善されます。
一時、飲酒をやめるとかえって、食道の病状が悪くなるとも言われましたが、当然ですが、まず、禁酒が大事です。
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